高田馬場にあるラグビーダイナー「ノーサイドクラブ」

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Noside History

「第五話:前夜の誤算」

ドリンク/フードのメニューもほぼ決まり、店内内装工事もイメージ通りで完了。

いよいよオープンを迎えるにあたり、前日の夜、練習がてら、所属するラグビーチームのみんなを招待、貸切でプレパーティーを開催しました。
(参加者の中には49歳の若きぽうるさんや高花さんの姿も!)

僕:「いらっしゃいませー!」
来店したチームメイト:「こんにちは?、竹内さん!いや、マスター!!」
僕:「おうよっ!」



食材もドリンクもメニューもスタッフのレギュレーションもバッチリ!
「マスター」という響きにも酔いしれながら準備万端で臨んだ、はずだったのですが…

「すいませーん!さっき頼んだジントニック、まだですかー?」
「すいませーん!この焼酎、めっちゃ薄いんですけどー!」
「すいませーん!フードが足りないので追加して下さーい!」
「すいませーん!頼んだのカシスソーダじゃなくカシスオレンジだったんですけど」
「すいませーん!小皿、交換してもらっていいですかー?」
「すいませーん!お酒溢しちゃったんでおしぼり下さーい!」
「すいませーん!先に帰るんで僕だけ会計いいですかー?」
「すいませーん!トイレのトイレットペーパーが無くなったので追加して下さーい!」




予想を遥かに凌駕するあまりの忙しさと大変さにカウンター内は大混乱!!!

チームメイト:「すいませーん!」
僕:「えっ!!!???(ビクッ!!)まだ何かあんの?」
チームメイト:「違います!違います!竹内さんも一杯飲んで下さいよー!」
僕:「えっ!あっ、そうか(ほっ...)」

そんな、まるでハイボールのキック処理を二回連続失敗して相手からのハイパンが怖くなってしまったかのようにお客様から声をかけられるのがトラウマとなり、柄にもなく一瞬にして「すいません」恐怖症に。

おまけに普段、プライベートではほとんどビールしか飲まないから焼酎やウィスキーの銘柄はちんぷんかんぷん。割り方も適当。
ジントニックなどカクテル一杯作るのに1分2分もかけてたら、そりゃあ、お店が回るわけがないですよね(笑)


加えて
僕:「唐揚げ、まだー?お客様から何度も聞かれてるんだけど!」
容子:「分かってるよー!!今やってるからっ!!」
とスタッフ内の空気までもが最悪に…


そんなことは露知らず、依然注文は怒涛の如く殺到、シンクにはグラスやお皿の洗い物が溢れ返る。
自分が自分でいられず、自分が今、何をやっているか、これから何をやればいいかが全く分からないから指示系統の整備は愚か、スタッフとのコミュニケーションも皆無。
当然、アルバイトスタッフも何をどうすればいいかただただ困惑。お客様の「すいませーん!」にも全く対応出来ず、追加注文の伝票だけがただただ増えていく。

汗か涙か分からないポタポタ零れ落ちる滴を拭きながら、その風景をふと俯瞰して見た時に「あ?、俺って飲食業、素人だったのになんで準備万端なんて思っちゃったんだろう…。
フードもドリンクも作れることが出来るのとお客様のニーズに合わせて提供するのでは訳が違う。
なんでそれをもっと想定して準備とリスクマネージメントが出来なかったのだろう...」

今日に至るまで計3回のワールドカップをお店で経験してきましたが、今だにこの夜を超える日はありません。

ラグビーの試合も仕事も人生もやっぱりそう簡単にはいかせてくれないんですよね。
音楽レーベルで独立した時に一度、人生を路頭に迷うほどの大きな失敗を経験したはずだったのにいつの間にか失念し、オープンに浮かれて調子に乗って招いた因果応報。

自分の見通しの完全なる甘さ、そして“マスターになること"の大変さを、心底、痛感させられた瞬間でした。

終わり際、チームメイトからも多数の叱咤激励を受け、閉店後はくたくた。
終いにはサザエさんのマスオさんばりに後ろずさりしながらドスンと尻もちまでつく始末。

つい数時間前まで持っていた強い気持ちや自信も一夜にして喪失。
不安と恐怖、緊張に包まれる中、いよいよ開店を迎えるのでありました。
(明日へ続きます)



★Message from 容子

「お店のオープン1週間前まで美容院で働き、そこからお店の準備、怒涛の日々の中でのプレオープン。
お店での料理のことを教えてくれた江東区でイタリアンのお店をしてるやっくんにも厨房に入ってもらったことと、美容院でずっと相棒だったまいちゃんがフロアでアルバイトスタッフとして入ってくれたことが心の支えでした。
ドタバタのドタバタでなんとかその日を終えたことを思い出します。
営業後ホッとした時、プレオープンを知った方から今から行きたいと連絡が…
食材も無ければ、気力も体力も全て無くなっていました。。。
そんな長い長い1日でした。」

 

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